対策方法なども知りたいなぁ
- 専門記述試験対策に必要なもの
- 専門記述試験のおすすめ科目
- おすすめ科目の勉強方法
元裁判所書記官、現県庁職員。
憲法、経済、民法の記述試験を勉強し、裁判所・都庁・財務専門官に最終合格しました。
また、裁判所の内部試験である書記官試験では、憲法と民法の記述試験対策を独学で行い、1年目で合格しました。
今回は、公務員試験受験生の誰もが対策に悩む「専門記述試験」の話です。
専門記述試験は、選ぶ科目を間違えずに、その科目に合わせた対策をしっかり行えばいいだけの試験です。
そこで、この記事では、メリット・デメリットを分析し、選択すべき科目を提案しています。
そして、科目ごとの勉強方法と参考書を紹介しています。
専門記述対策に悩んでいる人は、この記事を読んで、計画的な勉強プランを練りましょう!
目次
公務員試験の専門記述試験とは
専門記述試験とは、択一試験で勉強する専門科目の記述版だと思ってもらって大丈夫です。
専門記述試験が課される試験は主に以下の通りです。
- 国税専門官
- 財務専門官
- 裁判所事務官
- 都庁
これらの試験を受験する人は、対策が必須となります。
専門記述試験の出題形式
専門記述試験の出題形式は2パターンあります。
- 一行問題
- 事例問題
一行問題とは、以下のような問題です。
【令和元年度 裁判所一般職】
司法権の独立の意義及び趣旨を述べた上で、その憲法上の現れについて論ぜよ。
【令和元年度 都庁】
【マクロ】外部不経済の下での市場均衡について説明せよ。また.外部不経済の内部化の方法のうち,課税による方法及び補助金による方法に ついて,それぞれ説明せよ。なお,説明には図を用いること。
このように見てみると、一行問題は知識をはきだして答える問題だと言えます。
一方で、事例問題とは以下のような問題です。
【令和元年度 国税専門官・財務専門官】
次の事例を読み,以下の問いに答えなさい。
[事例]
Xは,Yとの間で,自己が所有するマンション一戸(以下「甲」という。)をYに賃貸する旨の契約(以下「本件契約」という。)を締結し,甲を引き渡した。
本件契約では,賃料は月額 10万円,賃貸期間は2年間,目的は居住目的と定められた。
Xは,本件契約を締結するに当たって,Yに対し,転貸をすることを禁ずる旨を告げ,契約書にもその旨が明記されていた。
他方で,Yは,Xに対し,実家で単身で暮らしている母親を介護のため呼び寄せて同居する可能性があることを告げ,Xはこれを了承した。
Yの叔母であるZは,英会話スクールの開業を考えていたところ,立地・間取りともに適切であった甲に興味を持ったため,「賃料は月額 12 万円を支払うので,甲を英会話スクールに利用させてほしい。
あなたの母親の介護は私の娘に任せればよい。」とYに頼み込み,YはXに無断でこれを了承した。
現在,Yは甲とは別のマンションに居住しており,Zは,甲に単身で居住しながら,甲の一室を用いて英会話スクールを営業している。
(1) Xは,Yに対し,本件契約を解除し,賃貸借契約の終了に基づく甲の返還請求をしようと考えている。Xの当該請求の可否について論じなさい。
(2) 仮に,(1)の主張が認められない場合,Xは,Zに対して,直接賃料を請求することができるかについて論じなさい。
また,かかる請求をすることができるとした場合,その金額はいくらかについても論じなさい。
事例問題では、与えられた事例の中から問題点を指摘し、それに対する考えを論述します。
公務員試験の専門記述対策に必要なもの
どの科目の専門記述にも共通していえることは、解答例が載っている参考書が対策には絶対に必要だと言うことです。
理由は二つあります。
- 答案にどの程度書けばいいのか知る必要があるから
- 書き方を知る必要があるから
参考書から合格答案の目安を知る
まずは、答案にどれだけの質を求められるのかを知るために、答案例は必要です。
言い換えると、どれだけの知識を答案に載せれば合格なのかを知る必要があるということですね。
これは特に一行問題に関する話です。
専門記述の一行問題は知識があれば解けます。
逆にいうと知識がなければとけません。
でも、知識があっても、どれぐらいの知識をアウトプットした答案を書けばいいのかわかりませんよね?
答案に書く内容が薄すぎてもだめですし、無駄なことを書いてもだめです。
答案の目安を知るために、解答例を参考にする必要があるというわけですね。
参考書から答案の書き方を学ぶ
答案例は答案の書き方を学ぶ上でも重要です。
事例問題を解く場合、お作法みたいなものがあります。
問題提起して、法律の解釈を示して、当てはめる、みたいなやつです。
さらに、事例問題を解く場合には、「論証」と言われるものも必要です。
書き方や論証を学ぶには、やはり解答例を見て学ぶしかありません。
また、一行問題でも、知識をどのように答案に載せていくのか知っておいた方がいいでしょう。
答案のイメージを掴むためにも参考答案は必須です!
【専門記述試験】おすすめ科目ランキング
専門記述試験でもどの科目を選択したらいいのか悩んでいる人のために、おすすめの科目を紹介します。
専門記述おすすめ1位 憲法
一位は、王道の憲法です。
- 色々な試験種を併願する人
- 暗記するのが得意な人
- 独学で記述対策をしたい人
- 暗記するのがとにかく苦手な人
選択に迷っていて、どの科目でも良いと考えてる人は、憲法を選択していいでしょう。
すべての試験に対応できるので、お得感があります。
また、暗記するだけなので、暗記が苦ではない人にとっては得点源となる科目です。
そして、一番のおすすめポイントは、参考書が豊富ということ。
独学でも対策しやすいです。
また、参考書が豊富ということは以下のことが言えます。
豊富に揃っている⇒需要がある⇒皆が勉強している⇒得点しやすい
憲法は皆が選択する科目ですので、王道の専門記述対策をしたいなら憲法でいいでしょう。
暗記が得意なら憲法一択ですね。
専門記述おすすめ2位 経済学
民法と同率ですが、経済学が2位です。
- 経済学に苦手意識がない人
- 記述対策に時間をかけたくない人
- 経済学に苦手意識が少しでもある人
- 独学している人
正直対策の簡単さで言えば、経済学が一番のおすすめです。
出題される論点が決まっており、集中的にその部分を勉強すれば乗り切れます。
ですので、経済学に苦手意識が全くなく、記述対策に時間をかけたくない人にはうってつけの科目です。
ただ、最大のマイナス点があります。
市販の記述対策の参考書で使い物になるものが一切ないことです。
そのため、独学で勉強している人が経済学で記述対策を進めるのは無理があります。
専門記述おすすめ2位 民法
経済学と同率ですが、民法が2位です。
- 民法が得意な人
- 暗記よりも論理的思考が得意な人
- 独学で勉強している人
- 民法に苦手意識が少しでもある人
- 長い文章を読んで問いに答えるのが苦手な人
個人的にお勧めなのは、民法です。
民法に苦手意識がなく、暗記が苦手なら、憲法ではなく民法でもいいでしょう。
理由としては、次の2つです。
- 基本的に択一試験の知識で対応できる
- 出題範囲が決まっており対策が簡単
一行問題の場合、択一試験の知識で対応できます。
また、事例問題の場合も、択一試験の知識と少しの言い回しを覚えれば対応できます。
事例問題って難しそうに感じますが、文章がやけに長いだけで内容はシンプル。
長い文章の中に、
- 通謀虚偽表示
- 第三者の対抗要件
- 解除の効果
などの論点が隠されているだけです。
択一試験の知識で基本的には対応できるので、憲法よりも勉強の労力は少ないです。
また、事例問題を解く場合、独特の言い回しを知っておく必要がありますが、それは市販の参考書が豊富に販売されているので、心配する必要はありません。
民法が得意なら、選択を検討してみてもいいでしょう。
専門記述おすすめ4位 その他
憲法・経済学・民法以外の科目は、全て同じ順位です。
理由としては、対策がどれも困難で、基本的にはおすすめしないからです。
行政学や会計学など、記述対策の参考書は販売されていません。
独学するのは困難です。
記述試験は模範解答を使って対策をすることが必須であるため、市販の参考書がないのはかなり痛いですね。
また予備校に通っていて答案例を持っていたとしても、出題範囲が限定できないので、対策にかなり時間がかかります。
憲法・経済学・民法のどの科目も選びたくないっていう人は、それ以外の科目を選択してもいいでしょうが、一か八か的な部分が多いので、あまりおすすめはしません。
どうしてもというのであれば、過去問を見ながら、その他の科目も考えてみるといいでしょう。
専門記述試験の対策方法と参考書
最後に、憲法、民法、経済学の勉強法と参考書を紹介します。
【専門記述試験】憲法の対策方法と参考書
- 答案構成を作成する
- 模範解答を丸暗記する
対策方法としては、この2つです。
憲法の専門記述は、択一試験の知識だけでなく、それに加えて定義などを正確に暗記することが求められます。
「学問の自由の趣旨をすぐに言って」と言われても、即答できないですよね。
何となく覚えている知識を正確にしていく作業が必要だというわけです。
その作業方法として、答案構成を作るか、模範解答の丸暗記があります。
好きな方法を選択すればいいでしょうが、目安としては以下の通りです。
択一試験対策が順調で記述試験対策にあてる時間がある人
⇒答案構成を作成する
記述試験対策にあてる時間がない人
⇒模範解答を丸暗記する
暗記できればどんな方法でも大丈夫ですね!
詳しい対策方法は、≫【憲法】専門記述の王道の勉強法!元書記官が対策法を紹介【公務員試験】で解説しているので、参考にしてみてください。
【専門記述試験】民法の対策方法と参考書
民法の事例問題に対応するためには、択一試験の知識+記述試験独特の言い回しを覚える必要があります。
言い回しについては、自分で考えるのは不可能です。
模範解答から覚えていくのが手っ取り早いです。
事例問題に対応した参考書はたくさんあるので、独学ならそれらを参考にして勉強を進めればオッケーです。
詳しい対策方法は、≫【民法】専門記述の勉強法!一行問題と事例問題の対策法【公務員試験】で解説しているので、参考にしてください。
【専門記述試験】経済学の対策方法
経済学は出題範囲が限られていて、択一試験の知識で十分対応できるので、勉強法としては択一試験対策で呼んでいる参考書で進めていけばいいでしょう。
ただ、知識があっても、答案をどのように書いて、どれほどの知識を書けば良いのかわからないことだと思います。
ですので、模範解答などを参考に勉強を進めていくべきですが、市販で使えるような参考書はありません。
予備校に通っている人は、配布される模範解答をもとに学習すればいいでしょう。
独学の人は、さきほども紹介しましたが、単発で通信講座を受講して対策するのが最も効率的です。
【おすすめの通信講座】
≫アガルートまとめ
専門記述試験は、自分に最適な科目を選択し、その科目にあわせた対策方法を実践すれば、誰でも合格答案を書くことは可能です。
今回は、科目の選択方法と勉強方法を紹介しました。
この記事を参考に、専門記述試験対策を効率的に進めてほしいと思います。