最近テレワークに注目が集まっていますよね。
公務員にもテレワークの波が押し寄せています。
公務員の私もテレワークを数回しました。
そこで思ったことがあります。
公務員のテレワークなんて名ばかりテレワーク
今回は、私の体験談ともに、公務員のテレワークの現状と公務員がテレワークをすることができない理由について説明したいと思います。
目次
現役公務員のテレワーク体験談
私が行ったテレワークの内容
- 上司への勤務報告は一日4回
- テレワークの内容は、日頃の業務の自己研鑽
- 次回出勤時に、テレワークの報告書を作成する
ざっくり羅列するとこんな感じの内容のテレワークをしました。
家でずっと自分の業務に関する参考書や研修の資料を読みこみます。
これを「ワーク」と呼べるかはさておいて、こんな感じのテレワークを月に何回か行います。
上司への一日4回の報告も「生存確認」みたいなものです。簡単に終わります。
そして、次回の出勤時に作成する報告書も、そんなにたいそうなものではなく、自分がテレワークでしたことを簡単に報告するだけでした。
他の公務員のテレワークの内容はどうなのか
私の前職は、国家公務員ですので、そこの同期などにもテレワークの内容を確認しました。
そして、他の公務員の知り合いにも、同様に確認しました。
結果としては、詳細な業務報告の方法などは異なっていますが、自己研鑽をするというテレワークの内容はどこも変わりありませんでした。
あるところでは、週に4回ほどテレワークをしているとのことでした。
それを聞いたとき、週に一回の勤務で済む仕事ってどんな仕事なんだろうって思いましたね。
そんなに休んでも支障がない仕事なら、人員を削減して、足りていない部署に配属すればいいのにって感じです。
公務員のテレワークが無理な3つの理由
基本的にテレワークをできる公務員は、地方公務員及び国家公務員ともに、ほとんどいないと私は考えます。
私は、テレワークをする前から、公務員のテレワークは不可能だと思っていましたが、実際にテレワークを経験してみてより一層その考えが強くなりました。
公務員がテレワークをできない理由は以下の3つです。
- 公務員は常に個人情報を扱う
- 公務員の仕事は書面主義
- 公務員の勤務時間や態度の管理ができない
【理由1】公務員が扱う情報は個人情報
公務員の仕事は個人情報なしでは成り立たない
個人情報を扱うのに最適な場所は職場である
公務員の仕事=個人情報を扱う
公務員はどんな仕事をしていようが、個人情報を扱います。
(すべての公務員の仕事内容を把握しているわけではないので、個人情報を扱わない公務員ももしかしたらいてるかもしれませんが)
例えば、市民や住民の情報がそれですね。市役所や区役所の申請窓口を想像してもらえればいいかなと思います。
窓口だけでなく企画調整するような部署であっても、企業の情報など常に個人情報は付きまといます。
そのため、「公務員が仕事をする=個人情報を扱う」ということになります。
個人情報の取り扱いは想像以上に厳しく管理されている
その個人情報の取り扱いは非常に厳しいルールがあります
現状のシステム的にも持ち出すことは不可能です
・持ち出しのルールが厳格で面倒
・流出させてしまうことへのリスクが大きい
・一度個人情報を流出してしまったら信用を取り戻すのが困難になる
などなど、いろんなしがらみがあって持ち出しは困難なんです
個人情報の取り扱いには、公務員は非常に厳しいです。
持ち出しは厳禁ですし、持ち出せる職種があったとしても許可を取らないといけません。
万が一流出してしまったら大変なことになってしまいますからね。
理由によるかもしれませんが、流出してしまったら懲戒処分ものです。
許可をとれば持ち出すこともできますが、流出させるリスクがあるのにわざわざ持ち出す人はあまりいません。
そんなリスクをとってまで、外で仕事をする理由がありません。
私ならそんなリスクをとるぐらいなら、職場で仕事をしていた方がましだと考えます。
懲戒処分になるリスクを背負いながら外で仕事なんてしたくないですね。
公務員は信頼の上に成り立つ職業であります。
公務員に対して一定の信頼があるからこそ、高い税金を支払って、公共サービスを受けようとするのだと思います。
公務員の仕事に対して信頼がなければ、国家は成立しません。国民や住民が国家や自治体を信頼しなくなれば公務員の仕事なんて回らなくなります。
公務員の仕事は一定の信頼の上に成り立っている仕事だと言えます。
このように公務員は、国民の信頼を裏切らないためにも絶対に情報漏洩をしてはいけない仕事なんです。
そのために、個人情報の取り扱いについては厳格なルールが設けられているのです。
そして、その個人情報を扱う最適な場所が、現時点では、職場であります。
書類を外に持ち出すと紛失のリスクがありますし、電子データで持ち出したとしても、外部のネットワークと接続されている環境でそのデータを使用することにもリスクがあります。
つまり、ある程度外部との接続が遮断されている職場が、個人情報を扱う最適な場所となりうるわけです。
このように、個人情報の壁が、公務員のテレワークを阻む一つの原因となっています。
【理由2】公務員の仕事は未だに書面主義
やっと公務員の仕事にも電子化の波が来ていますが、未だに公務員の仕事は書面が中心です。
役所に申請を出す場合を想像しても、申請書の提出を求められるし、同時に提出するものも書面で求められますよね。
公務員には、書面を受け付けて審査するというような業務が多いので、家で仕事をするのが難しいです。必ず出勤して、窓口で書面の審査をしなければなりません。
もし、これが、電子申請だった場合には、家に職場のパソコンを持ち帰って審査をすることも可能なのかもしれませんが、現時点では電子申請がまだまだ一般的にはなっていませんし、家のネット環境にもウイルスなどの不安が残っているので不可能だと思われます。
このように、書面が中心的なポジションをとっているうちは、公務員がテレワークをすることは困難だと思われます。
【理由3】公務員の勤務時間や勤務態度を監視できない
もし家でゴロゴロしている公務員がいたとしたら、それはありなの?
公務員は当然税金を使って仕事をしており、給料も当然、税金でまかなわれています。
そのため、国民(住民)からすれば、公務員がしっかりと勤務時間内に、まじめに勤務しているかが気になるところだと思います。
税金で働いているのに、まじめに働いていなければ、なんかむかつきますよね。
ここで普段の仕事について少しだけフォローさせてもらうと、少数の人が公務員の仕事態度について不満を声高にぶつけてきますが、大勢の公務員は普段から真面目に一生懸命働いています。確かに昔の公務員は勤務態度がすごかったらしいですが、今は改善されています。
話を戻します。
職場で働いていると、常に上司が勤務時間や勤務態度を管理しています。
働く場所によっては、住民の監視さえあります。
どこそこの部署のやつがコンビニで休憩していたなんて情報が寄せられることもあるぐらいですからね。。。
しかし、テレワークをしていると、この勤務時間や勤務態度を上司が監視することができません。
たしかに、電話やメールで勤務時間を管理することは可能です。「今から仕事を開始します」みたいな感じで。
でも、その連絡の後に、実際に働いているのかなんて誰もわからないですよね。
正直さぼり放題だと思います
もちろん、私には公務員の倫理感があるので、テレワークの時には、さぼらずに自己研鑽に励んでいました。
ただ、現実はさぼり放題なんです。
多くの方はこのように思うのではないでしょうか?当然の感情です。
税金で働いている以上、公務員の勤務時間や勤務態度などを管理できないテレワークは、今のところ不可能であると考えます。
国民・住民の感情を考えれば無理でしょう。
公務員のテレワークはワークでない
公務員のテレワークの実態は名ばかりテレワーク
以上のように、テレワークをすることなんて事実上不可能であり、国民や住民からの理解など得られるわけもありません。
職場で仕事をしていた方が安全だからね。
公務員のテレワークの導入率などが報道されていますが、そのほとんどが私が経験したような内容のテレワークです。「ワーク」ではなく、ただの自己研鑽です。
つまり、「名ばかりテレワーク」です。
感染拡大を食い止めるために必要なのか
するのも仕方がないんじゃないの?
考えが堅くない?
そんな声が聞こえてきそうです。
たしかに、この状況下では、感染拡大を食い止めることは必要だと思います。
感染が拡大してしまったら、業務が止まり、それこそ国民や住民に不便を生じさせますからね。
でも、やり方があるのではないでしょうか。
例えば、勤務時間を大幅にずらすとか、勤務日を土日にもずらすなどです。
テレワークの方法以外でも、三密をできる限りなくすことはできるでしょう。
名ばかりのテレワークをするぐらいなら、他の方法を検討すべきです。。
最後に:公務員も働き方を考え直す時がきた
- 公務員は常に個人情報を扱う
- 公務員の仕事は未だに書面主義
- 公務員の勤務時間や態度の管理ができない
私は、この理由から、公務員のテレワークは厳しいと思っています。
大きな声では言えませんが、知り合いの公務員の中には、テレワークの状況で仕事をしていなくて、遊びに近いようなことをしている人もいます。
公務員全員が真面目なはずがありません。このような方法でのテレワークでは、まじめに働く人のほうが少ないかもしれません。
私もテレワークを経験しましたが、正直有休を消化したほうが楽だなと感じました。
実際にしていることは「ワーク」ではなかったので、後ろめたさがあったからです。
民間にテレワークの導入を推奨している関係上、公務員もテレワークを実施しなければならないことはわかりますが、無理に実施することに意味はないでしょう。
そんな方法では、しばらく時間がたてば結局は元通りです。
公務員もこれを機に働き方を考えるべきだと思います。